マリウス・ブルチーア
1979年ルーマニア、クルジュ=ナポカ生まれ。マリウス・ブルチーアは、2003年にクルジュ=ナポカのUniversity of Art and Designにて美術学士号を、2005年には同大学で美術学修士号を取得しました。共産主義崩壊後のルーマニアでの生活の平凡さや不確実さを描く彼の作品は、鮮やかな色彩を用いながらも、どこかアンニュイな気配を漂わせています。ブルチーアは、エイドリアン・ゲニーやヴィクター・マンと並んで、1989年のルーマニア革命後にクルジュ=ナポカに集結した画家の集団「クルジュ派」を代表する画家の一人とされています。彼の絵画は自身の経験も反映しており、主題の背には装飾的でありながら様々な痕跡が残る風景が広がります。現実とフィクション、進展と衰退、個人の記憶と公的な歴史がせめぎ合うブルチーアの断片的な作品世界では、緑豊かな風景や大胆な建築物、そしてとらえどころのない表情をした人物が張り詰めた空気の中で共存しています。
主な個展は、「This Side of Paradise」Art Encounters Foundation(ルーマニア、ティミショアラ、2024年)、「Echo of a Breaking String」Lyles & King(ニューヨーク、2024年)、「Blue Silk」François Ghebaly(ニューヨーク、2022年)、「The Far Sound of Cities」MAKI Gallery(東京、2021年)など。また、ブルチーアの作品はARKEN Museum of Modern Art(デンマーク、イスホイ)、Taubman Museum of Art(ヴァージニア州ロアノーク)、Kistefos Museum(ノルウェー、イェヴナケル)、Zabludowicz Collection(ロンドン)、Olbricht Collection(ベルリン)をはじめとする多数のパブリックあるいはプライベート・コレクションに収蔵されています。