クリントン・キング
1976年オハイオ州コショクトン生まれのクリントン・キングは、コロンバス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインにてペインティング専攻の美術学士、シカゴ美術館付属美術大学にてスカルプチャー専攻の美術学修士を取得しています。素材の物質性と絵画が呼び起こす感覚の性質に重点を置くキングの作品は、作家独自のミニマルなスタイルで複雑かつ精巧な視覚効果を生み出します。
キングは一つ一つのブラッシュストロークを構築し、躍動と活気に満ちたパターンの母体を生み出します。たっぷりと絵具を含んだ単一のブラッシュストロークを基礎として、蓄積の概念を調査しています。作家の開放的な筆遣いは画面を万華鏡のような力場に変え、秩序と無秩序、具象と抽象の関係を探るのです。近年の作品では、日本の武道である合気道からインスピレーションを得たと言う“戦略的自発性”を採用し、そして“積極的な受容”を用いることで作品のインパクトを最大化しています。
キングは作品を通して“単一のブラッシュストロークがどれほどの情報を伝えられるのか”、“芸術作品が知覚に訴える境界は何なのか”など、思考を促す質問を投げかけます。「絵画は内なる経験を外へ向かう知覚可能な形へと変容させる」と語るキングは、日常の中で失われたり隠されたりしているものを呼び起こそうと試みています。
主な個展に「Mythmatics」MAKI Gallery(東京、2023年)、「LIVING ENDS」Carl Kostyál(ロンドン、2022年)、「FREE RADICAL」Allouche Benias Gallery(アテネ、2021年)がある他、アメリカを中心に世界各地で精力的にグループ展に参加しています。