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平野遼

Installation view, artwork: Ryo Hirano

この度Sakurado Fine Artsでは、日本戦後絵画界の鬼才平野遼の展覧会を開催します。本展では、平野が50年におよぶ画家人生で制作した作品群より、1960年代から1990年代にかけて制作されたペインティングとドローイング合わせて20点を展示します。1992年に作家が世を去った後、2000年以来東京では初となる個展を、どうぞこの機会にご高覧下さい。

1927年大分県に生まれた平野遼は、独学で絵画を習得し、人間の存在の本質を問うかのような孤高の視点から、人物像や心象風景をテーマとした絵画を制作しました。北九州のアトリエに隠棲し画業に励んだ平野は、1970年代以降、傾倒するアルベルト・ジャコメッティの影響がうかがえる細い線の集合体で人物像を描くようになり、その他に自画像、昆虫や植物、解体、闇など有機的でグロテスクさを孕んだテーマを、確かなデッザン力と表情豊かなマチエールによって抽象的に描画する作風を確立しました。繊細な線描によるデッサンと大胆な筆致のペインティングを織りあわせながら展開する平野の表現は、具体的なものの形からその根幹を成す要素だけを残し、他を極限まで削ぎ落とすことで生まれる抽象であり、光と闇、生と死といった対峙する世界の狭間に浮遊するような緊張感と瞑想感を想起させます。特に人物をデフォルメした絵画は、フランシス・ベーコンなど20世紀以降の欧米を中心とした人物画の系譜に匹敵する表現力を兼ね備えると同時に、そこに日本近代絵画史における抽象表現の多様性を再発見することができます。戦後の混沌とした社会を生き抜き、人類に対する好奇心や疎外感を哲学的まなざしを通して普遍的に紡ぐ平野は、今日再評価すべき日本人作家の一人です。

主な個展に池田20世紀美術館(1986年)、北九州市立美術館(1987年、1997年)、東京セントラル美術館(1990年)がある他、福岡県立美術館や大分県立美術館に作品が所蔵されています。

※展覧会最終日2月23日のギャラリー営業時間は、11:30~16:00とさせて頂きます。

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