MAKI
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ジョナス・ウッド & シオ・クサカ

Installation view, artwork, left to right: Jonas Wood; Shio Kusaka, Photo: Naohiro Utagawa

この度MASAHIRO MAKI GALLERYでは、アメリカ人画家ジョナス・ウッドと陶芸彫刻作家で彼のパートナーでもあるシオ・クサカの日本で初となる版画展を開催します。

二人の作品に繰り返し登場する壺、植物、スポーツをテーマに、2011年から2017年に制作されたウッドの版画20点と、クサカが自身の立体作品をモチーフに制作した版画10点を、2フロアに渡るギャラリースペースにて展示します。また、展覧会会期中3月7日から10日まで開催されるアートフェア東京会場内では、ジョナス・ウッドのソロ展を同時開催し、版画30点を展示販売します。二人の作品群の中でも版画に焦点を当てる本展では、版画技法特有の画面のフラットさや、異なった配色による同一イメージの反復を通して、重なり合う線や形、色がより一層バリエーション豊かに作品を構成します。二会場に渡って展示される60点あまりの作品を通して、現代アメリカンポップアートの最前線を行く二作家の遊び心のあるカラフルな世界観を、どうぞご高覧下さい。

ウッドは、観葉植物、テニスコート、家族、部屋の内装など身近なモチーフや空間を、複数の視点を組み合わせながら、ビビッドな色彩と複雑に歪んだ構図で平面的に描画する作品で知られています。これまでポートレートやインテリアなどテーマ別に展覧会や画集を発表してきましたが、近年、植物からバスケットボールが生えたような図や、植木鉢の中に風景が描き込まれた図など、主題のカテゴリーを超えて平面と立体の境界線が溶け込むようなイマジネーションに富んだ作品を多く生み出しています。それらの空間認識や視点をめぐる絵画的探究は、アンリ・マティスやデイヴィッド・ホックニーといったモダニズム以降の絵画の系譜に連なる創意に満ちると同時に、共同でロサンゼルスのアトリエを運営する立体作家クサカとの影響関係を色濃く映し出します。絵画と並行してウッドが近年積極的に取り組んでいるシルクスクリーン、エッチング、リトグラフなどの版画作品では、ペインティング特有の絵の具のテクスチャーが排除され、イメージの平面性が一層際立ちます。

クサカは、有機的なフォルムが特徴的な大小さまざまな器に、フルーツ、恐竜、バスケットボール、升目や木目調模様など身近なモチーフを、僅かな歪みや途切れといった不完全さを孕んだ手作業で施します。そうして生み出される立体作品は、ドローイングと陶芸、具象と抽象を行き来する繊細な表情を持ち、民芸や工芸の伝統を引用しながらもそこに新たな造形的可能性を見出す前衛的なアプローチを感じさせます。自身の立体作品を平面へと発展させたシルクスクリーンでは、個性あふれる陶器たちが物体としての触感や影を失い、フラット化されたモチーフとして、ポップアートを想起させる単色の正方形を背景に軽快かつグラフィカルに浮かび上がります。
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